2014年度・お勧め書籍 14冊

昨年までに続いて、今年のお勧め書籍を紹介します(※今年の新刊ということではなく、過去に発売されたもの全てが対象です)
今回も 1冊増えて、14冊です。 同一シリーズのものは 1冊とカウントしているので、本当はもう少し多いですが。
なお、選考した 14冊は、1位〜14位というように順位付けしている訳ではありません。

選出の対象となる本は、当サイトで現在までに公開している内容に合わせたものとなっています。 具体的には、以下のようにジャンル分けし、各ジャンルから最低1冊ずつ選定しています。

できる限り、当サイトで扱っていないジャンルの知識を必要としない本を選出しています。 例えば、「Java でアルゴリズムとデータ構造を解説している良書」があったとしても、当サイトは Java を扱っていないので除外されていますし、 「Windowsプログラミング」に .NET関係の本は含まれていないということです。

1.本当は怖いC言語

書名 本当は怖いC言語 Kindle版
レベル 初級
ジャンル C言語 (C99世代)
出版日 2012年3月
ISBN 978-4798032627

C言語を正しく理解できる、基礎固めの良書。

C言語の全体像を順番に学んでいく、一般的な教科書スタイルになっています。 初級レベルですが、初めての本としてはちょっと難しいかも知れません。 とりあえず、前置きが長いので、本題が始まる Chapter5 (または開発環境の構築について説明している Chapter4) までは、 一旦読み飛ばしていいでしょう(むしろ、最後まで読んでから戻ってきた方がいいと思います)。

実際にエラーとなる例を幾つも挙げており、そういったことも実際に試しながら進めていく点が、他の本との大きな違いです。 こういった実験(本の中では「恐怖実験」と呼ばれています)を実際に行ってみることで、 理解が深まり、実際のプログラミングの中で起きる謎めいたエラーにも対処できるようになるでしょう。
初級レベルの本にしてはページ数が多めですが、1つ1つの説明が非常に丁寧であるが故です。

本書は、Windows、OS X、Linux の各環境に対応しています。 しかし、Visual Studio や Xcode といった統合開発環境(IDE) を使わず、 昔ながらの makefile を使った手法で、コンパイル、リンクの過程を踏むようになっています。
統合開発環境ではボタン1つで実行ファイルが出来上がり、ボタン1つで実行できますが、 その背後で何が行われているのかを理解することは大切です。 とはいえ、実践的には IDE を使う方が効率的なので、理解さえできていれば素直に IDE を使って良いでしょう。 (複数のソースファイルを使うようなプログラムでは、1度は makefile による方法を試すべきだと思います)。

2.EffectiveC++

書名 Effective C++ 原著第3版
レベル 入門書レベルの C++プログラムを書けるようになったら
ジャンル C++ (C++03世代)
出版日 2014年3月
ISBN 978-4621066096

正しい C++プログラミングを理解するための必読書。

本書に書かれているガイドラインは、C++ を使っている限り、確実に理解しておかなければならない内容になっており、間違いなく必読と言えます。 本書の内容が実践できていれば、C++プログラムの質は大幅に向上するでしょう。

本書を読む前に、まずは好みの入門書で C++ の概要を掴み、実際にプログラムを書いて動作を確認しましょう。 その後、本書を読み始めるのが良いでしょう。
オブジェクト指向プログラミングの考え方などで躓くでしょうが、それでも構わないので、本書で C++ の正しい書き方を学びましょう。 本書の理解だけでも1〜2年は掛かると思います。 何度でも読み返し、とにかく真似をしながら、小規模のプログラムをたくさん書きましょう。
オブジェクト指向プログラミング自体の考え方は、本書よりも更に後で学習した方が良いと思います。 そうでないと、現実に即して考えられないはずです。

本書は、現在の最新規格である C++14 や、1つ前の C++11 には対応していませんが、 続編となる「Effective Modern C++: 42 Specific Ways to Improve Your Use of C++11 and C++14」 で対応されています。 こちらはまだ英語版しかありません。

昨年、出版社が技術書事業から撤退したため、絶版となってしまいましたが、 今年に入って、丸善出版によって再版されています(リンクは再版されたものにしてあります)。

3.C++ のための APIデザイン

書名 C++ のための APIデザイン Kindle版
レベル 中級者〜
ジャンル C++ (C++0x世代)
出版日 2012年11月
ISBN 978-4797369151

API設計を扱った数少ない本。

本書はタイトル通り、C++ (C++0x) による API設計を扱う本です。 つまり、他人に使ってもらうクラス群、関数群をどのように作っていけば良いかを解説しています。 このテーマに絞られた本はあまり存在しないので、貴重な本と言えるでしょう。

API設計には考慮しなければならないことが数多くあります。 API使用者とのインタフェース部分の設計、分かりやすいドキュメントの作成、バージョンの管理(前後のバージョンとの互換性)、性能、テストの仕方など。 これらの話題が網羅されています。
1つ1つの話題に割かれているページ数は、それほど多い訳でもありませんが、 参考文献が豊富に紹介されているので、興味のある部分はそれらの文献にも当たってみると良いと思います。

実は、API設計に限らず、どんな種類のプログラミング作業においても有益な内容が多く、 どの立場からでもお勧めできる内容になっています。

4.Perlベストプラクティス

書名 Perlベストプラクティス
レベル 中級者〜
ジャンル Perl (5.8世代)
出版日 2006年8月
ISBN 978-4873113005

Perl で良いコードを書くためのガイドライン。

本書の内容は、C++プログラマであれば、 Effective C++C++ Coding Standards の Perl版といえば分かりやすいでしょう。 ( Effective Perl は別にありますが、ちょっと古いです。 洋書 なら新しいものがありますが)
Perl において、バグを生みにくく、効率的で、保守性の高いコードを書くためのガイドラインです。 Perl である程度の規模の大きいプログラムを書くことがあるのなら、本書の中から幾つもヒントを得られるでしょう。
なお、本書が扱う Perl のバージョンは 5.8世代で、より良くなる状況下では CPAN のモジュールも積極的に使われています。

Perl は、ちょっとした数行のコードのために使うことも多い言語だと思いますが、 その程度の規模では、本書の内容を必要としないかも知れません。
しかし、今後長く使われ続けるツールの作成などに Perl を利用するのなら、 将来、保守・改造を行うことになる人のためにも(それは自分自身かも知れません)、良いコードを書きましょう。 特に、Perl4 世代のような古い形式のままコードを書き続けている人は、是非、より堅牢な新しい手法を学ぶべきです。

Perl は読み辛く、不可解なコードを簡単に書けてしまうと言われることもありますが、 本書に登場するコードを見れば、Perl でも、読みやすく保守しやすいコードを書けることが分かると思います。 結局は、ベストプラクティスを学び、実践する心がけ次第でしょう。

この手の本はどれでもそうですが、それぞれのプラクティスに対して、「なぜそうすると良いのか」を理解することが重要です。 この本には、それもしっかり書かれていますから、自分の状況に合わないものを無理に受け入れる必要はありません。 複数人での開発に使うのなら、コーディングルールを議論する叩き台として使うのが適切かと思います。

5.APIで学ぶ Windows徹底理解 / APIで学ぶWindowsプログラミング

書名 APIで学ぶ Windows徹底理解
レベル 初級〜中級
ジャンル Windowsプログラミング
出版日 2004年4月
ISBN 978-4822228262
書名 APIで学ぶWindowsプログラミング
レベル 初級〜
ジャンル Windowsプログラミング
出版日 2010年6月
ISBN 978-4822228491

Windows の動作の仕組みを理解するための本。

「APIで学ぶWindowsプログラミング」は、「APIで学ぶ Windows徹底理解」の続編という位置付けです。 2冊とも、元々は雑誌の連載記事だったものを再編集したものです。
丁寧で詳細であり、図表も豊富で分かりやすいです。

「APIで学ぶ Windows徹底理解」の方は、Windows API を通して、Windows の動作の仕組みを理解することが目的となっています。 ウィンドウ、メッセージ処理、ファイル操作といった、Windows API を使ったプログラミングの基礎はもちろんのこと、 メモリ、スレッド、プロセス、DLL、サービス、デバイスドライバといった重要な機能も扱われています。 描画周りを扱っていない点が気になるところですが、「APIで学ぶWindowsプログラミング」の方で、ごく簡単ではあるものの扱われています。

「APIで学ぶWindowsプログラミング」では、実際に Windows API を使って、簡単なゲーム(15パズル) と、バイナリエディタを作る流れを解説しています。 いずれも多くのページを割いて丁寧に解説されており、Windows API による Windowsプログラミングの感覚をつかむのには十分な内容だと思います。 Windowsプログラミングの経験が少ないのなら、こちらから読んだ方が入りやすいかも知れません。

Windows API を直接使用してプログラムを書く機会は随分と減っています。 今なら .NET Framework がありますし、Windows 8 では WinRT という新たな API も使えます。 しかし、Windows の動作原理を知るために Windows API のレベルで学習することには、まだまだ意義があると思います。

6.定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造

書名 定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造
レベル 初級〜
ジャンル アルゴリズムとデータ構造
出版日 1998年3月
ISBN 978-4797304954

アルゴリズムとデータ構造の基礎を学ぶ入門書のベストセラー。

ソートやサーチ、スタックやリスト構造、木構造といった、アルゴリズムとデータ構造の基礎をC言語を使って解説しています。 また、後半では正規表現やメモリ管理のアルゴリズムのような高度な内容も取り上げています。

文章量は多いですが、丁寧で、図解も多用されており、 実際のプログラムコードも小さい単位(今説明している箇所だけを実装した関数、といった単位)で掲載されています。 文章量が多いのは、プログラムの中身を丁寧に解説した結果です。
アルゴリズムとデータ構造の性能を評価するのに重要な、計算量についても、詳細に説明されており、 入門書と言えども、ごまかしの無い良書です。

本書を読むにあたって、C言語の基礎は理解できていたほうがいいでしょう。 特に、C言語でデータ構造を表現するには、ポインタや構造体が必須なので、これらの理解が必要です。 C言語でプログラムが書けるようになった後、本書に進むのが順当な流れだと思います。
C言語に馴染みの無い人には、同著者による Java版 もあるので、こちらを当たってみるのも良いでしょう。 扱っている内容は同一のものになっています。

現在の主流なプログラミング言語の多くは、標準ライブラリや言語仕様の一部として、 アルゴリズムとデータ構造を簡単に使える環境が整備されているため、 あまり、この分野を勉強する必要性を感じないかも知れません。 しかし、アルゴリズムとデータ構造を学習することは、プログラミング能力の向上につながります。 ほとんどの場合、新しいアルゴリズムを考案する必要がある訳では無いので、 本書が扱っているような基礎的な部分をしっかり理解しておくことが大切です。

7.オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン

書名 オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン 改訂版
レベル 中級〜
ジャンル オブジェクト指向プログラミング
出版日 1999年10月
ISBN 978-4797311129

GoF によるデザインパターンのバイブル。

GoF (Gang of Four) とは、オブジェクト指向プログラミングにおける設計手法を、23 のパターンとしてまとめあげた4人の人物の総称のことです。 このパターンのことをデザインパターンと呼びます。
本書は、この GoF のデザインパターンを本人達が記したバイブルです。

説明には C++ が使われおり、部分的に Smalltalk が登場します。 また、付属の CD-ROM には、紙面にあるサンプルコードを Java に直したものが収録されていますが、これは GoF の手によるものではありません。
本書のデザインパターンのカタログの部分は、付属CD-ROM に HTML形式で収められていて、Webブラウザ上で見られるようになっています。 むしろ、こちらの方が見やすいかも知れないので、1度確認してみると良いと思います。

最早、オブジェクト指向によるプログラミングは常識化している現在にあって、GoF のデザインパターンは古典の域に達しているかも知れません。 現代的には、これらのパターンだけでは足りないとか、分類の仕方が古いなどとも言われていますし、 実際、GoF のメンバーは、改めてパターンをまとめ直そうとしているようです。
それでも、多くのプログラマにとって共通理解となっていることもあるほど、GoF のパターンは広く浸透しているので、 やはり、知らないでは済まないでしょう。

記述は決して易しくはありませんが、 各パターンが必要となる動機、パターンが適用できる箇所やできない箇所、適用する場合の問題点などを完全に網羅しており、価値ある文献でしょう。
また、各パターンをカタログのようにまとめた第3章以降だけでなく、導入部となる第1章、 テキストエディタの設計例を説明している第2章も、素晴らしい内容なので、是非読んでみて下さい。

読みにくく理解しづらいのも事実です。 もっと噛み砕いて分かりやすく書かれている本もたくさん出ていますから、自分に合った副読本を先に当たった方がいいかも知れません。

8.プログラミング作法

書名 プログラミング作法
レベル 何らかの言語で入門レベルを超えた辺り(C言語が分かるとなお良い)
ただし、中級者以上でも読み続けられる。
ジャンル プログラミング全般
出版日 2000年11月
ISBN 978-4756136497

正しいプログラミングを学ぶ良書。

コーディングスタイルから、設計、テスト、デバッグ、パフォーマンス、移植性といったように、 プログラミングに関するノウハウが、それぞれ 30ページ程度の分量でまとめられています。 なお、オブジェクト指向プログラミングについての記述はほとんどありません。
章ごとに参考文献が挙げられていますが、さすがに 15年前の本なので、 入手しようと思うのなら、改めて調査した方が良いでしょう。

C言語、C++、Java、Perl、Awk といったように、幾つかのプログラミング言語を使ったサンプルコードが登場します。 言語固有の事情を踏まえたサンプルもありますが、知らない言語であっても恐れずに読み進めてみることをお勧めします。 極端に思想が異なる言語という訳では無いので、何か1つの言語を使って、小規模でもプログラムを書ける力があれば、読み進めることは可能だと思います。

本書の2人の著者は、どちらも偉人と呼ぶにふさわしい存在です。
特に、Kernighan は非常に有名人で、 K&R(「プログラミング言語C」のこと) の K の方であり、先ほど名前が登場したプログラミング言語 Awk の「k」でもあります。 また、「ディジタル作法」の著者でもあります。
Pike も様々な実績を持った人物です(参考:Wikipedia)。
そんな2人の経験と考察をコンパクトにまとめた本書の価値は、ほとんどの類書と比較にならないほどでしょう。

新人プログラマに特にお勧めできる本です。 良いプログラムを考える癖、良いコードを書く癖を、早いうちに身につけておきましょう。 また、新人でなくとも、毎年毎年読み返してみるだけの価値がある本だと思います。

9.珠玉のプログラミング

書名 珠玉のプログラミング
レベル アルゴリズムとデータ構造の入門書レベルを終えてから
ジャンル プログラミング全般
出版日 2000年10月 (2014年2月再版)
ISBN 978-4621066072

問題の本質を見抜き、適切な解決方法を導き出す力を養う本。

本書の内容は、全体的に言えば、限られたメモリの中で、高いパフォーマンスを上げるアルゴリズムとデータ構造を探り出すことに集中しています。 ちょっとした発想の転換で、これが可能であることを教えてくれます。 これまで効率のことを考える習慣の無かった人は、新たな気付きを得られることでしょう。

難しい数学の話題が出てくる訳でもありませんし、登場するアルゴリズムとデータ構造の種類も入門書レベルのものばかりです。
コード例のほとんどが擬似コードで表記されていますが、 難しくはないので、自分の知っている具体的なプログラミング言語に置き換えることは容易だと思います。

いきなりプログラムを書き始めるのではなく、まず問題をよく検討することから始めましょう。 本書には、その思考過程も含めて、しっかり記述されています。 練習問題も豊富にあるので、自分でも同じようにやってみると良いでしょう。

昨年、出版社が技術書事業から撤退したため、絶版となってしまいましたが、 今年に入って、丸善出版によって再版されています(リンクは再版されたものにしてあります)。

10.CODE COMPLETE

書名 CODE COMPLETE 第2版 上 Kindle版
レベル 中級〜
ジャンル ソフトウェア開発全般
出版日 2005年3月
ISBN 978-4891004552
書名 CODE COMPLETE 第2版 下 Kindle版
レベル 中級〜
ジャンル ソフトウェア開発全般
出版日 2005年3月
ISBN 978-4891004569

ソフトウェアコンストラクションに関する名著。

ソフトウェアコンストラクションとは、ソフトウェア開発に必要なプロセス全般のことを指した言葉で、 設計、コーディング、テスト、デバッグといった要素を含んでいます。

本書は、章ごとのテーマに沿って、 「こうすると、こういう観点から良い」「こうすると、こういう観点から良くない」といった、所謂、ベストプラクティスを扱っています。 根拠となるデータ、事例も随所に散りばめられており、説得力の高い内容になっています。
読み返すたびに新しい発見があると言う人も多く、それだけ豊富で詳細な価値ある本です。

本書は本当に評価が高く、10年近く前に書かれたものではあるものの、 今でも、プログラマ向けに推薦する技術書の筆頭に挙げられることが多い本です。
今年に入り、Kindle版が公開されており、紙媒体よりも安く入手できるようになっているので、 まだ読んだことの無い方は、是非、一読することをお勧めします。

11.ディジタル作法

書名 ディジタル作法 Kindle版
レベル 初級
ジャンル コンピュータ知識
出版日 2013年2月
ISBN 978-4274069093

現代人に必要な「情報」の基礎を身に付ける本。

サブタイトルに "カーニハン先生の「情報」教室" とあるように、著者はあの有名なカーニハン氏です。 「プログラミング作法」の著者でもありますし、C言語の世界で「K&R」といったときの「K」の方です。 人によっては、カーニハン先生の著作というだけで買いでしょう。

本書は、専門知識を持ち合わせていない人達にも理解できるように、現代の情報技術を総ざらいしたものです。 ですから、プログラマでない人も対象者に含まれており、前提知識が無くても読み進められるようになっています。

コンピュータの動作の仕組みや、ネットワークの仕組みを扱ったり、 JavaScript を使って、Webブラウザ上で動く簡単なプログラムを作ってみたり、 世間を騒がすセキュリティ問題や、著作権問題を扱ったりと、 情報技術に囲まれて生活している我々現代人ならば知っておきたい基礎知識を丁寧に解説しています。

本書の内容の一部は、すぐに古くなってしまうだろうと書かれていますが、やはり基本的な部分は今後も活きるものだと思います。 特に、自分の「情報」分野に関する知識量に不安のある方は、一読してみると良いでしょう。

12.プロセッサを支える技術

書名 プロセッサを支える技術
レベル 中級〜
ジャンル コンピュータ知識
出版日 2011年1月
ISBN 978-4774145211

CPU とその関連技術についての詳細な解説書。

コンピュータを構成する技術の中でも、プログラマにとって特に重要な CPU についての解説書です。 基本的に、Intel社の x86系プロセッサを対象にしています。 また、CPU だけでなく、GPU、メモリ、仮想化といった重要技術にも触れられており、 コンピュータアーキテクチャに関して、全体的に学ぶことができます。

本書は、プログラムを行う人をメインターゲットに据えているとのことで、 性能を引き出すために必要な知識が得られるように書かれています。 特に、キャッシュメモリ、パイプライン、並列化、GPGPU といった辺りは、プログラマにとって非常に重要でしょう。

最新(といっても 2011年ですが)の実在する環境について触れられているので、理論だけでなく、現実が分かる本です。
なお、同著者による 「コンピュータアーキテクチャ技術入門」 が 2014年に出版されています。 こちらは、性能向上や省電力に関する話題が中心ですが、コンピュータアーキテクチャ全般について解説されていますから、 興味があれば、こちらも一読をお勧めします。

13.プログラマの数学

書名 プログラマの数学 Kindle版
レベル 初級
ジャンル 数学
出版日 2005年3月
ISBN 978-4797329735

全プログラマに必須の数学的思考を身に付ける本。

数学のジャンルとしては、離散数学に当たるでしょうか。 コンピュータサイエンスの根幹を成す、重要な分野です。
何だか難しそうに聞こえるかも知れませんが、本書は、数学が苦手でも敬遠する必要はありません。 非常に易しく丁寧な説明になっており、ほとんど前提知識を必要としません。

本書は「数学」を勉強するための本ではなく、「(プログラマに必要な)数学的思考法」を勉強する本です。 本書を「数学」の参考書のようなつもりで読んで、低い評価を下す人を見かけますが、そういう本では無いと思います。

タイトルに「プログラマの」とありますが、実際のプログラムコードや数式は、ごくわずかにしか登場しません。 図表を多く使っており、思考の過程が詳細に書かれていますから、じっくり読み進めていけば理解できるでしょう。

多分、数学が得意な人や、離散数学(あるいは情報工学、計算機科学のようなもの)の教育をきちんと受けた人には物足りないレベルだと思います。 そうでなくとも、分かっているつもりになって読み飛ばしてしまう人もたくさんいると思います。
しかし、前述したように、本書で重要なのは「思考法」ですから、 本当に自分が「思考」できているかどうか振り返ってみると良いのではないでしょうか。

14.プログラマが知るべき97のこと

書名 プログラマが知るべき97のこと
レベル 初級
ジャンル プログラマ読み物
出版日 2010年12月
ISBN 978-4873114798

世界で活躍するプログラマ達による、プログラマのためのエッセイ集。

本書はエッセイ集であり、何らかの技術や知識が体系的にまとめられたものではありません。 ほとんどが見開き2ページに収められているので、ちょっとした隙間の時間にでも適当なページを開いて読んでみるのもいいでしょう。

プログラマとしてあるべき姿、勉強法、ツールの使い方やテクニックなどなど。 世界の現場で、あるいは個人のプロジェクトで活躍してきた先人達のノウハウが詰まっています。
読み進めてみると、同じキーワードが繰り返し登場することに気が付くかも知れません。 そういった事柄はプログラマにとって、確実に重要テーマであるはずですから、 より深く勉強してみるのも良いでしょう。

本書は翻訳版ですが、この日本語版では新たに、日本人プログラマの記事10本が追加されています。 なお、英語版は無料で読めます

また、同シリーズに 「ソフトウェアアーキテクトが知るべき97のこと」「プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと」「ゲームクリエイターが知るべき97のこと」「ゲームクリエイターが知るべき97のこと 2」 があります。 それぞれ、ご自分と関わりがあれば一読をお勧めできます。

総括

いかがでしたでしょうか?

今年でこのコーナーは5回目(5年目)となりましたが、この間、毎年選出されている本が幾つかあります。 具体的には、以下の本です。

これらの本は、殿堂入り書籍として、来年以降はこのコーナーでは取り上げないことにしようと思います。
言うまでもなく、ここに取り上げた本は、非常に素晴らしい内容になっているので、 読んだことが無い方は、是非手に入れて一読してみて下さい。


当サイトは今年、引越しを行いました。 これまでに Web上にばらまかれたリンクがことごとく途切れてしまい、ご不便をおかけしました。

今年の更新の大半は、C++編の記事の追加でした。 旧サイトの C++編から、大幅な章立ての組み換えを試みており、 内容についても詳細度を増しています(以前のあっさり気味な解説の方が好みな方もおられるかも知れませんが…)。
また、C++11 での新機能についても言及しています。 書き進めるそばから C++14 の標準化が完了し、C++ の進化のスピードに追い付けていないのですが、 来年以降も頑張って書き進めていきます。


最後に、今年1年に起きた、当サイトと関連のある出来事について取り上げてみます。

C++14 (仮称 C++1y) が無事に標準化されました。 今回はマイナーバージョンアップという位置付けではありますが、それでも割と追加機能が多いので、 C++プログラマは変更点を確認しておくと良いでしょう(参考)。
ちなみに、次の規格は C++17 (仮称 C++1z) となることが予定されています。 こちらはメジャーバージョンアップなので、更に大きな追加・変更が加わると思われます。

Perl5 は、5.20 にバージョンアップしています。 このバージョンで、サブルーチンシグネチャという新機能が実験的に実装されました。 これは何のことは無く、サブルーチンの引数が書けるようになる機能で、C言語の関数でいうところの仮引数が書けるようになります。 Perl には昔からプロトタイプという機能があり、一見して同じようなことができますが、意味するところはまったく違っていました。 Perlらしさが失われるという声もあるようですが、一般的には便利で安全性を高める、よい追加仕様だと思います。

Windows の次期バージョンとなる、Windows 10 が発表されました (Windows 9 ではなく)。 正式公開は来年後半以降となるようなので、まだ先の話ではありますが、 すでに Technical Preview版という開発者向けのプレビュー版を試せる段階になっています。

VisualStudio の次期バージョン、VisualStudio 2015 の Preview版も登場しました。 来年度中には、正式版が使えるようになるでしょうか。
また、従来の Express Edition に代わり、Community版という新たな形が登場しました。 ライセンス面に制限がありますが、個人開発者の多くは、無償で Express Edition を超える機能を持った VisualStudio が利用できるようになります。 こちらは VisualStudio 2013 に対応したものが登場済みです。

Apple社絡みでは、 OS X の最新版となる OS X Yosemite が公開されています。
また、MacOS、iOS 向け開発の新たなプログラミング言語として、Apple の独自言語 Swift が公開され、注目を浴びています。 従来の開発言語 Objective-C との共存も図られていますが、今後は少しずつ Swift による開発へシフトしていくと思われます。 文法を見る限りでは、比較的すっきりとして分かりやすいので、近寄りがたい独特さを持つ Objective-C よりも習得しやすいのではないでしょうか。

…今年も色々と大きな発表がありましたね。


更新履歴

'2014/12/26 新規作成。



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